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秋吉理香子「婚活中毒」

こんにちは!小町です。

しばらく空いてしまい、ご無沙汰の更新です。

 

今回は秋吉理香子「婚活中毒」を取り上げます。

 

なんだか不穏なタイトルですね……。

 

 

概要

 

婚活をめぐる4つの短編で構成されていて、サクッと読める分量でした。

婚活に沼ってしまう人の話かと思いきや、人の嫌〜なところを描いたミステリになっています。

婚活という独特な状況から生まれるイヤミスに読んでいる側が中毒になりそうです。

 

2017年の作品なので、「婚活」と言っても今とは若干ギャップがあるかもしれません。

ここ数年でもマッチングアプリの普及などで、出会いの形は変化しています。

 

ただ「生涯のパートナーを選ぶ一大イベント」に慎重になったり、盲目になったり、はたまた騙されてしまったりと、そういう点では共感できますし、ミステリの題材としても確かに面白いと思います。

 

そんなことを踏まえて、

4つのお話を読んでいきます。

 
 

理想の男

 

アラフォーの沙織は彼氏にフラれた上、母にも辛辣なことを言われたことで、地元の結婚相談所の門を叩く。そこで紹介された男性はとても理想的で、何故今まで結婚できなかったのか不思議なほどで、沙織は彼のことを調べ始めます。すると、彼が過去に紹介された3人の女性が謎の死を遂げていることに辿りつくのです。

 
 

婚活マニュアル

 

街コンに参加した圭介は、恋愛経験の乏しさをカバーするため事前に婚活のマニュアルを読み込んで挑みます。その甲斐あって、同じグループになった美女とお付き合いすることになりますが、徐々におかしな方向へ。なぜか、もう1人同じグループだった美人ではない女性が気になる???

 

男の単純さと女の知略が光るお話でしたね。

 
 

リケジョの婚活

 

地方へ団体お見合いをしにいく番組へ応募した恵美。お目当ては一目惚れした男性ただ1人!徹底的に分析して彼とのゴールインを目指す。

 

ナ○ナイのお見合い大作戦、テレビでめっちゃ観てました〜

 

そしてラスト怖かった〜。

 
 

代理婚活

 

なかなか結婚しそうにない息子の代わりに親同士が相手を探すという代理婚活に参加した両親。父親の方は乗り気ではなかったが、とあるお相手の母親に惹かれ始める。彼女に会いたい一心でなんとか息子を説得するのだが……

 
 

最近の結婚問題

 

ここからは長〜い余談です(笑)

 

婚活という話題から考えたことを少々。

 

人生の選択肢自体が多様化している昨今ですので、夫婦の在り方も様々になっていると思います。

事実婚や同姓パートナー、卒婚なんて言葉もありましたね。

 

昔は親や周囲から紹介された相手やお見合いだったりと誰かのお墨付きで、何もしなくても結婚しやすかったかも知れません。結婚生活のあり方も男性が仕事に出て女性が家を守ることが大前提でした。

 

それが今や男女平等、職業も結婚も自由で、

まあ、結婚が全てとは私自身全く思っていませんが、

たとえ結婚したいと思っていても、すり合わせないといけない条件が多すぎて…

思い描く将来や生活に齟齬が生じやすいのかもしれません。

 

ひと昔前のベルトコンベア式の人生から、進学、就職、生活、場所、人生の選択肢が多様化した時代。

自由とは自己選択、自己責任ということです。

 

待っていても結婚できる時代ではなくなり、積極的に紹介してもらったり、出会いの場に行ったり、アプリを駆使して機会を作る必要があります。

 

ここまで書いているだけで、結婚って難しすぎる💦

 

そんな煩わしさもあってか、リクルートの2023年の調査では、

(いずれは)結婚したい女性49.3%、男性は43.5%と年々意欲が減少しているそうです。

 
 

ところで、少し前にゼクシィのCMで「結婚しなくても幸せになれるこの時代に私はあなたと結婚したいのです」というのがあったのですが、それがなんとなく心に残っています。

 

自分の人生を選び続けなくてはいけない現代人はとても大変です。

どうしても合理的思考になってしまいますが、そればかりでは大切なものを見逃してしまうかも知れません。

 

自由な時代にあえて面倒を経ても、誰かと生きていく努力をするのはとても素敵なことだと思いました

 

 

秋吉理香子『婚活中毒』,実業之日本社,2017年12月.