村田沙耶香「信仰」

こんにちは!小町です。
1か月(以上)ぶりの更新になってしまいました。
本は読みたいのに忙しさに時間が取れません。ついつい読みやすい短篇を選びがちになりますね。
私と同じような人に、今回は村田沙耶香『信仰』をおすすめしたいと思います。
過去にも村田さんの作品を記事に取り上げていますが、
独特な発想から生まれた味のある短篇とエッセイが8本も収録されています。
それそれのあらすじに少々感想を添えて。
信仰
「原価いくら?」が口癖の永岡に、同級生の石毛がカルトを始めないかと声をかける。同じく同級生の斉川さんが一緒だということで心配になった彼女はその計画に関わっていくことに。
健康にいい浄水器、海外ではあたりまえらしい鼻のホワイトニング、ロンババロンティックの皿……
何を信じて、何にお金を払うのか。
みんながみんな、何かを信じて生きている。
現実を信仰している永岡も。信仰って宗教だけのことじゃない。
押し付けられるとうざいし、胡散臭いし、狂気じみていることってなんでも当てはまると思いました。
「私、騙されたことがあるからわかるの。高い方が、信じてしまうの。高いお金を払った自分を否定したくないし、それに、背伸びをして頑張ったお金を払ったほうが、これは特別な体験なんだって感じられて、新しい場所へいくことができるから」*1
ロンババロンティックの皿が気になりすぎてお皿のサムネに。(笑)
生存
65歳の時に生きている可能性を「生存率」として指標化した世界。「生存率」は本人が生涯得るであろう収入の程度にほぼ比例して算出される。
80%以上はA、50%以上はB、10%以上はC、そして9%以下のDは野人としてほぼ動物のようになっていく。
生きているなと感じる瞬間って、人それぞれにあると思うのです。
「生存」する状態ってなんでしょうね、と考えさせらます。
土脉潤起
「生存」の後日譚。野人になることを選んだ姉と女友達と三人で共同生活を決めた妹。
タイトル「どうみゃくうるおいおこる」は七十二候の季節のひとつ。2月中旬ごろ、暖かくなってきた雨が雪を溶かし、大地がうるおい始める頃を言います。
彼らの惑星へ帰っていくこと
子供のころから「宇宙人」が身近な存在だった私。地球にきて、人間に紛れて過ごしている宇宙人たちと自分は同じだという感覚だったと著者はいう。
カルチャーショック
「均一」の街から「カルチャーショック」の街に旅行に来た親子。「均一」では、言葉も味も、容姿までも同じで、それを可哀想と言う「カルチャーショック」の街の老婆。
異なる文化に出会った時、良くも悪くも衝撃を受けると思いますが、受け入れる人も、自分たちの文化を押し付ける人もいます。
何が最良かなんて自分たちの文化の尺度では測れないです。
気持ちよさという罪
「個性」や「多様性」という流行りの言葉で誰かを傷つけはいないだろうか。
ハッとさせられるエッセイです。
書かなかった小説
便利な家電「クローン」を4体購入することことにした夏子は、自分を夏子AとしてクローンそれぞれB、C、D、Eの5人で生活を始める。
タイトルは意図的?
未完成の小説の体をとってシーンが途切れ途切れでその間に何があったのか、想像を搔き立てられるのが、面白い。
最後の展覧会
とある概念を持つ星を探して旅をしてきたKは、最後にたどり着いた星でロボットと出会う。そこで「テンランカイ」を開くことにしたのだが……。
見る人によって残酷な事実や恐ろしい歴史も額に入れられる、美化されてしまえる気持ち悪さを感じたのは私だけだろうか。
仕事や学業に忙しい合間にも、少しゆっくり思考する時間を作りたいですね。
村田沙耶香さんが気になった方は他の記事にも取り上げているのでこちらもぜひおすすめです。